ほろ苦い青春を思い出して『ディア・エヴァン・ハンセン』

奮発して観てきました、『ディア・エヴァン・ハンセン』。2017年にトニー賞を総なめ受賞し、主人公のエヴァンを演じるトニー・プラットが素晴らしいと絶賛されていた話題作です。私が観たときには彼は既に降板しておりましたので、チケットも前よりは取りやすかったです。それでも今まで出したことない金額でオーケストラ席を買いました。自分へのご褒美。

後ろの席に座っていた他人のお一人様同士の観客が、一人はブロードウェイ初演の日にチケットが当たり見に来て以来リピーターの方と、もう一人はずっとサントラを聞いていて友人とも話題にしていた作品を観られるのでワクワクが止まらない!と楽しそうに会話していました。

さて、タイトルはコミュニケーションを苦手とする12年生(日本の高3に当たります)のエヴァンが、自分宛ての手紙を書くという課題をカウンセラーから与えられ、その書き出しの文章から来ています。もう一人影の主人公の同じく12年生のコナーの突然の自殺から(ショッキングな言葉をすみません)物語は展開していきます。ネタバレあります。

たまたまコナーが亡くなる前日に、エヴァンが骨折した左腕のギプスにサインしていたことと、コナーのポケットにエヴァンのカウンセラーの課題である、書き出しが「親愛なるエヴァンへ」の手紙が入っていました。これにより、たちまちエヴァンがコナーの親友だったとコナーの家族や学校中が勘違いし、エヴァンを取り巻く環境が変わる…という物語です。

私は家族もののストーリーに弱く、また高校時代も人間関係で悩んだことが多かったため、オープニングの母親同士の歌からなぜが涙が止まらず。次ぐ有名な曲『Waving Through a Window』ではボロボロなく始末。登場人物は少なく、ダンサーやコーラスもいないため、主要キャストが全てを勤めており、その熱量がまたスゴイ。

ストーリーとしては、周りが勘違いしそれを認めたエヴァンの嘘が告白されないまま展開していきます。それが、少しもどかしいというか、シラけた目で舞台を観てしまうこともありました。嘘ついているのにこんな感動的な歌を歌っちゃうなんて…。でも、この自分の感情もまた、脚本が意図しているものなのでしょう。

衣装やセットもシンプルで、日常を切り取ったようなもの。音楽もエフェクトなどあまりなく、メロディで勝負というように感じるものでしたが、演者の技術と才能でステージ全体がレベルアップされています。早口の英語と若者言葉、あとすこしお下品なギャグもあるので、親にはすすめられないかなーと、残念です。ザ・ブロードウェイ☆らしさは薄いと思いますが、生でしか味わえない極上の舞台を求める方へおすすめします。